横山雅彦「「超」入門!論理トレーニング」(ちくま新書)を読んで、日本人の「心の習慣」を再考した

英語講師の横山雅彦先生の新刊「「超」入門!論理トレーニング」(ちくま新書)を拝読した。

横山先生といえば、大学受験の英語で「ロジカル・リーディング」という読解法を提唱されている先生である。

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平成28年(2016年)8月に、大学受験生(高校生)向けではなく、一般の方に向けて出版されたのが、「「超」入門!論理トレーニング」(ちくま新書)である。

まず、本の内容を見ると、

内容説明
「伝えたいことを相手にうまく伝えられない…」とお嘆きの諸君!グローバル社会において日本人が備えなければならない課題は、英語そのものではなく、英語の「心の習慣」である「ロジック」を学びなおすことだ。本書では、日常のちょっとした会話やメールなどで、論理思考を「コミュニケーション」として使いこなすためのコツを伝授。最強かつ最重要な「知の技法」を体得しよう!

目次

序章 現代国語と英語の関係
第1章 ロジックの英語とハラ芸の日本語
第2章 ロジカル・コミュニケーションのポイント
第3章 三角ロジックの応用―ひとりディベート
第4章 ロジカル・スピーキング
第5章 メールの書き方
終章 ハラ芸の論理

とあり、これは「ロジック」というものが英語の心の習慣であり、日本語が持つ心の習慣とは大きく異なることを指摘する。「ロジカル・シンキング」だの「ロジカル・リーディング」だのと最近は「ロジカル」を銘打った書籍が多数存在するが、日本語の心の習慣である「ハラ芸」と比較しながら、「ロジック」とは何かということを分かりやすく解説されている。そして、日本語をいかにロジカルに運用するかを、できる限り英語を使わずに、わかりやすく具体的に解説したのが本書である。

現代国語と英語の比較の後、三角ロジックの概念の解説がなされた後、それを応用した文章の書き方やスピーキングを解説するという構成になっている。

印象に残っている部分をほんの少しだけ箇条書きにすると、

  • 欧米の概念に漢語をあてはめ、近代文明の受け入れに必要な語彙を生み出したのが「現代国語」。一方で、日本語の心の習慣(「言わぬが花」「不立文字」などの言葉にも表れている)は保持したまま。結果として、日本は、最小限のロジカル化(英語化)をもって、「国の個性」を保ちながら、最大限に近代化の恩恵をこうむることに成功にした。
  • 日本人の「英会話信仰」は、GHQのプロパガンダの一環として制作されたと言われる「カム・カム・イングリッシュ」から始まったのではないか。
  • 日本人が「知的イマージョン(知的に浸る)」として英語と向き合い、高度な運用能力を身につけるには、想像を絶する努力が必要。英語の達人と言われている人も、英語の習得には相当苦しまれている。

と、ロジカルに物事を思考する前提となる基礎知識から丁寧に解説がなされている。類書の「ロジカル・シンキング」と名のつく書籍のほとんどはスキルの解説をメインとし、ヒドイものだと英語の翻訳本で翻訳調の読みにくい日本語で書かれているものもあり、あまり読む気になれないものが多い。しかし、きちんと日本語の「心の習慣」と英語の「心の習慣」との比較がなされ、新書なのに丁寧かつ緻密に話が展開されているので、すんなりと本の内容を頭に入れることができる。

昨今、「論理」「論理」と叫ばれるようになっているが、「論理」とは実は英語の思考方法(英語の心の習慣)そのものであるとこの書籍から学ぶことができる。大学入試という独力で難しい英文を読む力を養成する教師が「論理思考」を説くこの書籍は親しみがわきやすい。また、「論理思考」とはどのようなものかということを「三角ロジック」というものを使って具体的なエピソードを交えて解説しているので、実践編としても役立つ。何度も読んでおきたい書籍である。

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