第1回 スペイン法を学ぶ前に… – スペインの地理の特長を学ぼう

最終更新日: 平成29年(西暦2017年)7月9日

スペインってどんな国? – スペインのあらまし

まずはスペインについての簡単な情報から見てみましょう。

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外務省のウェブサイト情報によると、スペインのあらましは以下のようになっています。

  • 面積:50.6万平方キロメートル(日本の約1.3倍)
  • 人口:約4,645万人(2014年1月)
  • 首都:マドリード(人口: 約310万人)(2003年12月)
  • 言語:スペイン(カスティーリャ)語。
  • 政体:議会君主制 (Monarquía Parlamentaria)
  • 国家元首:フェリペ6世(Felipe VI)国王(2014年6月19日即位)

上の情報に付け足していきます。

「面積」についてはスペインは世界で51番目に広いです。ちなみに、日本は世界で61番目に広い国です。

「人口」について見てみましょう。スペインは世界で29番目に多いのに対し、日本は世界で11番目に多いです。ちなみに、最近まで日本は10位だったのですがメキシコに抜かれて現在は11位です。

次に「首都」についての情報です。下の地図からマドリードを探してみましょう。

マドリードの場所はスペインのほぼ中央部に位置しています。あまりイメージがわかないと思いますが、標高は667mと比較的高いところにあり、同じヨーロッパで高いところにあると思われがちなスイスの首都であるジュネーブと比較しても高いところにあります。

次に「言語」です。ご存じのとおり、スペインの公用語は「スペイン語」なのですが、スペインの憲法において、スペイン語以外の言語も公用語として認められる余地を残しています。具体的に述べると、

  • バスク語(バスク州,ナバーラ州北西部)
  • カタルーニャ語(カタルーニャ州,バレアレス州)
  • ガリシア語(ガリシア州)
  • バレンシア語(バレンシア州)

です。

参考までにスペイン憲法の条文を見てみましょう。

Artículo 3

  1. El castellano es la lengua española oficial del Estado. Todos los españoles tienen el deber de conocerla y el derecho a usarla.
  2. Las demás lenguas españolas serán también oficiales en las respectivas Comunidades Autónomas de acuerdo con sus Estatutos.
  3. La riqueza de las distintas modalidades lingüísticas de España es un patrimonio cultural que será objeto de especial respeto y protección.
<和訳 (黒田清彦ら編「スペインハンドブック」(三省堂)より)>
第3条

  1. カスティーリャ語は、国の公用スペイン語である。すべてスペイン人は、これを知る義務を負いかつこれを使用する権利を有する。
  2. スペインの他の言語もまた、自治州条例にしたがい、各々の自治州における公用語とする。
  3. スペインの豊富な言語様式の多様性は、特別の尊重および保護の対象たる文化財である。

カタルーニャ語やバスク語やガリシア語やバレンシア語もまた自治州の公用語として認められているのは、憲法第3条第2項があるからだということが言えます。くわしくは地方自治のところでお話します。

最後に、「政体」及び「国家元首」については、現時点においては少し分かりずらいと思いますが、この講座を全て受講し終わる頃にはこれらの言葉の意味合いについても分かってくると思いますので、現時点では「そういう言葉もあるのだな」というぐらいに思っていただければOKです。


ここで、世界のGDPの順位を見ながらスペインと日本の順位を掲げておきましょう。なお、単位はmil.US$です。

順位 国名 GDP(百万ドル)
1位 米国 17,947,000
2位 中国 10,982,829
3位 日本 4,123,258
4位 ドイツ 3,357,614
5位 イギリス 2,849,345
6位 フランス 2,421,560
7位 インド 2,090,706
8位 イタリア 1,815,757
9位 ブラジル 1,772,589
10位 カナダ 1,552,386
11位 韓国 1,376,868
12位 ロシア 1,324,734
13位 オーストラリア 1,223,887
14位 スペイン 1,199,715
15位 メキシコ 1,144,334
16位 インドネシア 858,953
17位 オランダ 738,419
18位 トルコ 733,642
19位 スイス 664,603
20位 サウジアラビア 653,219

 

スペインは不況でここ数年で順位を落としてしまいましたが、EU圏内では5位でヨーロッパの経済活動を牽引しています。

スペインの地形の特長

スペインが位置する「イベリア半島 (Península Ibérica)」を取り巻く状況を見てみましょう。

スペインを取り巻く海


スペインの北東部はフランスの国境に面しており、東部は地中海 (Mediterráneo)、西部はポルトガルや大西洋 (Océano Atlántico)と接しています。そして、南部はイベリア半島とアフリカ大陸の間が約15km程と言われている「ジブラルタル海峡 (Estrecho de Gibraltar)」があります。ここは歴史的に見てもヨーロッパ大陸の重要な拠点になる場所なのですが、現在はイギリスの海外領土となっていて、領土問題が生じている場所です。北部はイングランドと接しており、良質な海産物が数多く獲れるビスケー湾(ビスカヤ湾)があります。

バルセロナの港

バルセロナの港

スペインの周りは海に面しており、何とスペイン国境の外周の85%が海に面していて、日本と同様に「海洋国家」の一面もあるといってもよいと思います。

スペインの山系

次に、自然環境に目を向けてみましょう。上の地図を見ながら説明を読んでください。フランスとの国境には「ピレネー山脈 (Los Pirineos)」が連なっています。かつてフランスのナポレオン1世が「ピレネーの向こうはアフリカである」と述べたことがあるそうですが、他のヨーロッパの国々とは異なる趣きがスペインにはあることを意味します。なぜスペインがそのような状態になっているのかは後の講義でご説明しますが、ヨーロッパとアフリカ的な雰囲気の地域の境になっているのがこのピレネー山脈だと理解していただければOKです。

イベリア半島内部に目を向けてみると、中央山系をはじめとしてイベリア半島が山がちな半島であることが見て分かりますね。実は、スペイン国内の国土の73%は標高400m以上の土地です。そして、イベリア半島中央部に広がる台地のことを特に「メセタ (Meseta)」と呼びます。スペインの首都であるマドリード (Madrid)は、メセタと呼ばれる台地の中央部に位置し、標高はヨーロッパの中でもピレネー山脈の山中にあるアンドラ公国の首都に続く2番目の高さで、標高は667mあります。

スペインの河川

 

スペイン国内には、かつて首都のあったトレド (Toledo)に面して流れる「タホ川 (el Tajo)」やスペイン南部のアンダルシア地方を流れる「グアダルキビル川 (El Río Guadalquivir)」などの川もありますが、川幅が狭い傾向がある上に降水量も少ないことから、交通手段として河川はなかなか使用できませんでした。

トレドの街並み

トレドの街並み

参考までに、イベリア半島を流れる主要河川のデータをWikipediaから抜粋してみました。

イベリア半島の主要河川
河川名 全長
(km)
流域面積
(km2)
エブロ川 910 86,100 スペイン、フランス(支流)、アンドラ(支流)
タホ川/テージョ川 1,007 80,600 スペイン、ポルトガル
ドゥエロ川/ドウロ川 895 78,952 スペイン、ポルトガル
グアディアナ川 818 67,733 スペイン、ポルトガル
グアダルキビール川 657 57,101 スペイン
フカル川 498 21,578 スペイン
セグラ川 325 18,870 スペイン
ミーニョ川 315 16,275 スペイン、ポルトガル

 

スペインの地理を踏まえて歴史的なお話を少しだけしますと、スペインは海を隔ててアフリカ大陸があったりヨーロッパ大陸が陸続きであったりしたために多くの民族の流入が多数見られた一方、半島内は極めて山がちでかつ交通を遮断するように河川が流れているために、侵入してきた民族が半島全体を統一するということは極めて難しく、これらの地形によって遮られた空間の中で独自の文化を作っていく傾向が強くなっていきました。歴史については詳しくは第2回で見ていきますが、スペインの歴史にはこのような傾向があったのだということは頭に入れておいて損はないと思います。

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最低限覚えておくべきスペインの地域名と都市名

ここで、最低限覚えておくべきスペインの地域名と都市名についてあげてみたいと思います。もちろん、ここで「最低限覚えておくべき地域名・都市名」として列挙しなかった都市が重要ではないことを意味するわけではありませんが、このサイトでこれから話を進めるにあたって最低限知っておかなければ何を言っているのかよく分からなくなるおそれがあるので、それを「最低限覚えておくべき地域名・都市名」として挙げていきたいと思います。

スペインの地域(自治州名)

まずは地図をご覧ください。

スペインにおける自治州の地図

スペインの自治州については、詳細は別に項目を立ててじっくりと見ていくことにしますが、その中でも重要な地域名・自治州名を4つあげたいと思います。

  1. スペインの北東部に位置するカタルーニャ地方です。ここの州都は、1992年にオリンピックが開催され、世界的なサッカーチームのFCバルセロナがあることで有名な「バルセロナ」です。
  2. スペイン北部のナバラ自治州及びバスク自治州をバスク地方と呼びます。
  3. スペイン北西部に位置するガリシア地方
  4. スペイン南部に位置するアンダルシア地方
特に1から3については、スペイン語とは異なる言語が話されている地域です。これについては前に述べたとおりです。

覚えるべきスペインの都市名

 最後に、覚えるべきスペインの都市名を挙げておきたいと思います。

覚えるべきスペインの都市名

上の地図の中で赤い丸で囲った都市名は、ぜひ場所とともに覚えましょう。一応注釈をしておきます。

  • バルセロナは、カタルーニャ自治州の州都です。
  • ビルバオはバスク自治州(バスク国)の州都ではありませんが、バスク自治州では一番人口が多く、中心都市です。
  • サンティアゴ・デ・コンポステーラは、ガリシア自治州の州都です。
  • バレンシアは、バレンシア自治州の州都です。
  • セビーリャは、アンダルシア自治州の州都です。
  • コルドバやグラナダはアンダルシア自治州の中心都市の1つですが、歴史でも登場する重要な都市です。
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この講座で登場する都市の全てを網羅するものではありませんが、スペインを知るのであれば、最低限は記憶すべき都市名だと思います。欲を言えば、地図で示されている名前は憶えてもよいと思います。

第1回確認問題

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