根抵当権の元本確定事由についてのまとめ

根抵当権の元本確定事由を整理してみよう。

以下のように整理すると、理解が早く進む。早速内容に入ってみることとする。

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元本確定事由をあげてみましょう。

基本書によって数え方はさまざまであるが、元本確定事由などを覚える際は、まずは数を覚え、そののちに内容を記憶していった方がよい。

  1. 確定期日を定めた場合 (但し、設定又は変更の時から5年以内でなければならない)(民法398条の6)
  2. 根抵当権者又は根抵当権債務者が死亡して6カ月以内に合意についての登記をしなかった時(民法398条の8)
  3. 根抵当権者又は根抵当権債務者(但し、債務者兼設定者の場合は除く)合併をし、根抵当権設定者が合併があったことを知った日から2週間以内または合併の日から1か月以内に元本確定請求をした場合(民法398条の9)
  4. 根抵当権者又は根抵当権債務者(但し、債務者兼設定者の場合は除く)会社分割をし、根抵当権設定者が会社分割があったことを知った日から2週間以内または会社分割の日から1か月以内に元本確定請求をした場合(民法398条の10)
  5. 確定期日の定めがない場合において、根抵当権設定後3年を経過した時、根抵当権設定者が元本確定請求を行った場合(民法398条の19第1項・第3項)。(* 根抵当権の目的の不動産が共有の場合は、共有者全員での確定請求が必要である。)
  6. 確定期日の定めがない場合において、根抵当権者が元本確定請求をした場合(民法398条の19第2項・第3項)
  7. 根抵当権者が抵当不動産につき、競売もしくは担保不動産収益執行又は物上代位による差押えの申立てした場合(民法398条の20第1項第1号)(通称「1号確定」という)
  8. 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき(民法398条の20第1項第2号)(通称「2号確定」という)
  9. 第三者の申立てによる抵当権不動産の競売手続の開始又は滞納処分による差押えを根抵当権者が知った時(民法398条の20第1項第3号)(通称「3号確定」という)
  10. 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始決定を受けたとき(民法398条の20第1項第4号)(通称「4号確定」という)

元本確定の時期についてまとめてみましょう。

根抵当権の元本確定は、その前後で大きく性質を異にする。したがって、いつから元本が確定するかは法律問題を考える際に大変重要である。したがって、条文に書かれている時期についてはきちんと記憶しておく必要がある。

  1. 確定期日を定めた場合(民法398条の6)  確定期日(その日の午前0時)
  2. 根抵当権者又は根抵当権債務者が死亡して6カ月以内に合意についての登記をしなかった時(民法398条の8)   相続時にさかのぼって確定
  3. 根抵当権者又は根抵当権債務者(但し、債務者兼設定者の場合は除く)が合併をし、根抵当権設定者が根抵当権設定者が合併があったことを知った日から2週間以内または合併の日から1か月以内に元本確定請求をした場合(民法398条の9)   合併の時にさかのぼって確定
  4. 根抵当権者又は根抵当権債務者(但し、債務者兼設定者の場合は除く)が会社分割をし、根抵当権設定者が会社分割があったことを知った日から2週間以内または会社分割の日から1か月以内に元本確定請求をした場合(民法398条の9)  会社分割の時にさかのぼって確定
  5. 確定期日の定めがない場合において、根抵当権者設定後3年を経過した時、根抵当権設定者が元本確定請求を行った場合(民法398条の19第1項・第3項)。(* 根抵当権の目的の不動産が共有の場合は、共有者全員での確定請求が必要である。)  請求の時から2週間の経過によって確定
  6. 確定期日の定めがない場合において、根抵当権者が元本確定請求をした場合(民法398条の19第2項・第3項)  請求の時に確定
  7. 根抵当権者が抵当不動産につき、競売もしくは担保不動産収益執行又は物上代位による差押えを申し立てた場合(民法398条の20第1項第1号)(通称「1号確定」という)  申し立てた時に確定
  8. 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき(民法398条の20第1項第2号)(通称「2号確定」という)  差押えの時に確定
  9. 第三者の申立てによる抵当権不動産の競売手続の開始又は滞納処分による差押えを根抵当権者が知った時(民法398条の20第1項第3号)(通称「3号確定」という)  根抵当権者が差押えを知ってから2週間を経過した時に確定
  10. 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始決定を受けたとき(民法398条の20第1項第4号)(通称「4号確定」という)  破産開始の決定を受けた時に確定

これらの元本確定事由のうち、前提登記としての元本確定登記が不要な場合をあげてみましょう。

ここからは実体法よりも不動産登記法の問題である。

不動産登記において、原則として元本が確定したら元本確定登記をしなければならない。しかし、元本の確定が不動産登記上明らかな場合において元本確定登記を省略することができる。

次に掲げるものは、元本確定登記を省略することのできるものの一覧である。

  1. 確定期日を定めた場合 (民法398条の6)(理由:登記した確定期日は登記記録上明らかだから。)
  2. 根抵当権者又は根抵当権債務者が死亡して6カ月以内に合意についての登記をしなかった時(民法398条の8)(理由:相続による移転又は変更登記がなされていれば、登記記録上から相続開始自我判明するため。)
  3. 根抵当権者が抵当不動産につき、競売又は担保不動産収益執行による差押えの申立てした場合(民法398条の20第1項第1号)(「1号確定」の中から物上代位が抜けている)(理由:根抵当権者が行った差押えであれば、差押登記の債権者の氏名(名称)及び住所と根抵当権者の氏名(名称)及び住所とが一致する限り、根抵当権者自身の差押えであることが登記記録上明らかであるため。)
  4. 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき(民法398条の20第1項第2号)(通称「2号確定」という)
  5. 債務者又は根抵当権設定者(ともに自然人のケース)が破産手続開始決定を受けたとき(民法398条の20第1項第4号)(通称「4号確定」という)(理由:債務者又は根抵当権設定者が自然人の場合、破産財団に属する不動産について破産登記が嘱託される。この場合、嘱託された破産登記により不動産の登記記録上、根抵当権の元本が破産手続きの開始決定手続きの開始決定時に確定したことが明らかであるから。)
上記以外は、不動産登記法の原則通り、元本確定登記を要する。
最後に元本確定登記の不動産登記申請例(一部省略したもの)を記載しておきたいと思う。
登記の目的 何番根抵当権元本確定
           原因 年月日確定
       権利者 X (根抵当権設定者)
  義務者 Y (根抵当権者)
  添付情報 登記原因証明情報、登記識別情報、代理権限証明情報
登録免許税 金1,000円(不動産1個につき)

これらの元本確定事由のうち、根抵当権者が単独で元本確定の登記が申請できる場合をあげてみましょう。

  1. 根抵当権者が元本確定請求をした場合(民法398条の19第2項・第3項)
  2. 第三者の申立てによる抵当権不動産の競売手続の開始又は滞納処分による差押えを根抵当権者が知った時(民法398条の20第1項第3号)に、元本確定登記の申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない (不動産登記法93条但書き)。なお、添付情報として、民事執行法49条2項の規定による催告を受けたことを証する書面が必要である。
  3. 根抵当権設定者が破産手続開始決定を受けたとき(民法398条の20第1項第4号)に、元本確定登記の申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない (不動産登記法93条但書き)。なお、添付情報として、債務者または根抵当権設定者について破産手続きの開始があったことを証する書面が必要である。

元本確定事由を検討するにあたって、当該根抵当権が準共有である場合及び共用根抵当権である場合に注意すべきことをあげてみよう。

1個の根抵当権を数人が準共有している場合(共有根抵当)に、どのような場合に根抵当権の元本が確定するか?

(答)共有者全員について元本確定事由が生じることが必要である。(質疑登研312)
(理由) 他方の共有者について、新たな元本が発生する可能性が残っているため。なお、共有根抵当権者の1人が根抵当権を実行できることから(共有となる時点で共有者は他の共有者による根抵当権の実行を覚悟すべき立場にあるため)、準共有者の1人からの差押えも元本確定事由とされている (平成9年7月31日民三1301回)。したがって、根抵当権の一部譲渡を受けた者を債権者とする差押えの登記がされている場合は、根抵当権の元本確定登記がされていなくても、元本確定は登記記録上明らかとなり、債権譲渡を原因とする第三者への根抵当権の移転登記を申請することができる。

根抵当権の債務者が数人いる場合(共用根抵当権)に、どのような場合に根抵当権の元本が確定するか?

(答) 債務者全員について元本確定事由が生じることが必要である。(質疑登研515)

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6. 元本確定事由を検討するにあたって、当該根抵当権が共同根抵当権である場合、1つの不動産について元本確定事由が生じた場合、他の不動産についても元本は確定するか?

(答) 共同根抵当権の元本は、1個の不動産についてのみ確定事由が発生すれば、全ての不動産について確定する。(民法398条の17第2項) →合一確定の原則

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