衆院総選挙前に「立憲主義」について考えよう! – 倉山満「右も左も誤解だらけの立憲主義」(徳間書店)を読もう!

いよいよ第48回衆議院議員総選挙の選挙戦がスタートする。その前に一度読んでおきたいのが、倉山満「右も左も誤解だらけの立憲主義」(徳間書店)である。

筆者は日本における憲法のあり方に対して鋭い指摘をされる憲政史家の倉山満(くらやま・みつる)氏である。

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まずは書籍内容について、徳間書店のウェブサイトから引用する。

戦後70年以上も日本では憲法論議は不毛に終わっていたのか。護憲派は立憲主義を掲げて誤植も含めて一字一句変えさせないと主張し、改憲派は条文を変えることだけにこだわってきた。しかし本来の立憲主義は条文にではなく、運用にこそある。実はリベラルも保守も誤解だらけだったのである。日本の憲法観に悪弊を垂れ流した東大憲法学を完全論破し、世界各国の憲法を比較しつつ、吉野作造の「憲政の本義」に依拠して立憲主義の本質に迫る決定版憲法論!

書籍のテーマは立憲主義である。

体育の日に部屋に籠って一気に読み切った。

今回の衆議院議員総選挙の争点の1つと言われるのが憲法改正である。日本国憲法の文言を変えるか変えないかという問題である。ところが、そもそも憲法とは何かということについて明確に答えられる人は多くない。

平成27年(西暦2015年)9月に大混乱の中で成立した「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成27年9月30日法律第76号)」、通称「平和安全法制」の審議中に、民主党や日本共産党などの野党から「立憲主義を護れ」と安倍政権に対して要求を重ねていた様子がマスメディアで流れ、「立憲主義」という言葉が以前よりも多く聞かれるようになっているが、そもそも「立憲主義」という言葉をまともに説明できる人はそんなに多くはないように思う。一方、自由民主党や日本のこころなどの支持層である改憲派と言われる人たちの中には「立憲主義」という言葉を「憲法を一言一句変えてはいけない」とか「アベ政治NO!」という意味に間違って捉える人もいるかもしれない。

そのような人たちに、もう一度憲法とは何かというところに立ち返って立憲主義の意味を丁寧に解説しているのが本書である。

書籍の内容は、日本における憲法史にはじまり、憲法典はないが憲法は存在すると言われているイギリスの憲法の歴史について、厳格なデュープロセスはマネしたいアメリカ合衆国憲法、フランスやドイツその他ベルギーなどの憲法の運用を比較・概観した後に吉野作造氏の言葉を引用しながら「憲政の本義」を学ぶ内容となっている。

重要な部分は、憲法は条文も確かに重要だがその運用が大切だという点である。

憲政は憲法の条文を制定することから始まるのだけれども、それを「運用する国民の力によって有終の美を済す」

立憲主義の重要な要素の1つとして、責任内閣制をあげている。

  1. 選挙に関わる人が善良な代議士を選ぶだけの知見とその行動力を監視する能力を持つ
  2. 議会に政府を監視する十分な実力がある

つまり私たちは勉強が必要なのである。では専門的な憲法学の勉強が必要なのかと言えばそうではなく、

対立する意見の両方を冷静に聞き、どちらが真理にあっているかが分かればよい

と述べている。

条文より精神が大事、憲政は縦軸としての歴史が大事、ただし野郎白大ではなく世界に通じる文明的な内容でなければならない

ただし以下の部分は国際法を守れということである。

パヨクやネトウヨをバカにしたりすることが憲政ではない。私たちが自分の国の歴史を勉強することがなぜ大切なのかといえば、憲政を実現するためであるといえよう。

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また、およそ100年前に吉野作造氏が指摘している様々な問題提起は現代においても十分に通じるものであることが倉山氏の指摘からも明らかである。本書で引用されているダイシーの「憲法序説」や吉野作造の書物にも興味が出てきたので、ぜひ手に取ってじっくりと味わいたいと感じた。

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