LA FURA DELS BAUS「Metamorfosis」@ Zepp Nagoya

万博閉幕まで残り10日間というところで1日おきでスペイン・パビリオンのイベントに行っています。我ながら、驚異的なペースです。

今日訪れているのは、愛知万博の「ささしまサテライト会場」の中にある「Zepp Nagoya」というライブハウスです。ここで行われるのは、「LA FURA DELS BAUS (ラ・フラ・デルス・バウス)」というパフォーマンス集団による「変身 (Metamorfosis)」というパフォーマンスを見せてくれるとのことで、名古屋スペイン協会の会員特典で割引で参加しました。

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変身

このパフォーマンス集団についてはこの公演があるまで全く知りませんでしたが、バルセローナ・オリンピックの開会式の演出をしたという宣伝文句があり(上の画像参照)、バルセローナ・オリンピックの開会式がかなり印象的であったことから、きっと日本でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるに違いないと思い、観賞しに来ました。

「変身」を見に行く前に、「LA FURA DELS BAUS (ラ・フラ・デルス・バウス)」がどのようなことを演ってきたのかがさらに知りたくなったので、ウェブサイト等で調べてみました。設立は1979年で、今年は25周年を向かえ、それを記念した世界ツアーの初回公演には、愛知万博が行われている「名古屋」の地が選ばれました。

開演時間は午後7時00分から。若干遅れていきました。指定の席に座り、始まり始まりです。

「変身」の原作はフランツ・カフカ (Franz Kafka)という1883年にチェコで生まれた作家です。40歳で結核で亡くなりましたが、「変身」の他にも「審判」「」「アメリカ」などがあり、これらの邦訳が文庫本でも出ているようです。

「変身」は、マジメな布地外交販売員である主人公グレゴール・ザムザが、「ある日目覚めるとベッドの中で巨大な毒虫に変身してしまった」というところから始まります。原作は読んだことがありませんでしたので、ストーリーは、ちらしに書いてある程度の知識しか予備知識がありませんでしたが、かえって先入観なくパフォーマンスが見られるので、苦にはなりませんでした。

舞台上には、動き回る立方体(1辺4mのもの)と映像を映し出すスクリーン(横:10m, 縦:6m)があります。また、舞台から役者が出てきて、客席で劇を演じる場面もありました。ぼくの座っていた辺りにも役者が来て、座席に座ってパフォーマンスを繰り広げていました。もともとこういった舞台を見たことのないぼくですが、こういった手法の演出はかなり驚きました。

事前に調べたウェブサイトには、「LA FURA DELS BAUS (ラ・フラ・デルス・バウス)」のパフォーマンスの特徴として、次の2点が挙げられていました。

  1. 観客に積極的に参加するよう働きかける。
  2. 舞台作品を各公演の会場となる空間が従来備えているきわめて建築的な要素に合うように脚色する。

スクリーンと立方体の内外、そして客席までをも使うことで、一層感情移入がしやすくなる効果があるように感じました。こういった、役者の演技、映像、音楽を一体化させたこの表現方法は 今までになかった全く新しい演劇形式で、「フラ様式」と呼ばれるようになり、いまヨーロッパの演劇界に大きな影響を与えているようです。

物語は、グレゴールが巨大な虫に「変身」してしまったことで、グレゴールは自分の部屋を閉め切り、自らの陥った状況を自身の暗い存在として、「巨大な虫」としての生活を始めるところから始まります。グレゴールは部屋の壁越しに、父母妹や友人の生活の様子を見ています。そして、自分が巨大な虫に「変身」してしまったことに関して父母妹や友人がどういったリアクションを取るのかということについて、様々な対比を用いながら、パフォーマンスは繰り広げられていきました。

「巨大な虫」に変身してしまったグレゴールが行き着く道は…。

グレゴールは本物の「虫」と同じように、母親に一撃で殺されてしまいます。息子が巨大な虫に「変身」してしまった家族の日常生活を通して、人間の絆のもろさや孤立感が表現された作品だったと思います。

パフォーマンスが終了した時は、グレゴールの母親が息子を殺すという残酷なシーンがある一方で、こういう場面に出くわした時(父母妹の立場に立った時)であれば、ぼくもひょっとしたらグレゴールを殺しているかもしれないなぁ、人間って恐ろしい部分も持った生き物なんだなぁということを感じていたら、しばらく立ち上がることができませんでした。

Zepp Nagoyaから出る時に、「原作とだいぶ違う!!」という声を耳にしましたが、ぼくは「フラ様式」で行われたこのパフォーマンスにはとっても満足できました。スペインというか、カタルーニャが生んだ素晴らしいアート集団だと思います。もっともっと日本で知られてもいいのではないかと思いました。

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また、日本でやる機会があれば、あるいはスペイン現地で公演が行われるようなことがあれば、見に行きたいと思いました。

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