今日はアラゴン自治州ウィークに行ってまいりました。

アラゴン自治州
アラゴン自治州といえば、州都サラゴサで2008年の万博が開かれます。アラゴン自治州ウィークは、単なる自治州ウィークだけではなく、サラゴサ万博のPRウィークという位置づけでもありました。

スペイン館の出入口の壁
もともと、スペイン・パビリオンのカラフルな壁とパビリオン自体とは1.5m程離れていて、パビリオンの壁には「EXPO ZARAGOZA 2008 (サラゴサ万博)」の宣伝が普段からされています。ここに並んでいると、一般客から、よく
「サラゴサって何!?」
という言葉をよく聞くので、この際ですからサラゴサについて、ここで若干の解説をしておきたいと思います。サラゴサは、スペインの北東部に位置します。サラゴサ市の面積は199平方km、人口は620419人で、アラゴン自治州及びサラゴサ県の首都です。この人口は、スペイン国内では5番目の規模をほこります。
– | 日本 | スペイン | ||
都市名 | 人口 | 都市名 | 人口 | |
1位 | 東京23区 | 813万人 | マドリード | 310万人 |
2位 | 横浜市 | 343万人 | バルセロナ | 158万人 |
3位 | 大阪市 | 260万人 | バレンシア | 158万人 |
4位 | 名古屋市 | 217万人 | セビーリャ | 70万人 |
5位 | 神戸市 | 149万人 | サラゴサ | 62万人 |
参考までに、都市別の人口ベスト5を載せておきましたが、これほど日本とスペインでは人口が違うということについては驚きです。
話を戻しますが、次回の「EXPO ZARAGOZA 2008 (サラゴサ万博)」が掲げるテーマは、「水と持続可能な開発 (Agua y desarrolo sostenible) 」です。サラゴサのあるアラゴン自治州は面積が広く、北はピレネー山脈が、南には高い台地が、中央部にはエブロ川の渓谷が貫かれており、広大な乾燥地帯の中でこのエブロ川は生命と文化の運河とも言うべき存在で、エブロ川から流れる水は、生命と文化の運河とも言うべき存在です。アラゴンに住む人が新しい水の文化のために地域全体として取り組んでいるのはそういった背景があるからで、サラゴサという地で、「水と持続可能な開発 (Agua y desarrolo sostenible) 」をテーマに万博が開かれることは意義深いことであるといえるでしょう。

ビクトリア号船内のサラゴサ万博案内展示
さて、「アラゴン自治州ウィーク」では、サラゴサ万博の紹介がプラザのスクリーンで流されるとともに、アラゴン地方の文化を紹介するアトラクションが行われました。

カランダの太鼓
まずは「カランダの太鼓 (Los tambores de Calanda)」です。このカランダの太鼓は、イースター(キリスト教復活祭)、1日24時間絶えることなく、太鼓の音色がカランダの町中に響き渡るとのことです。ぼくはイースターの祭りを直に見たことがないので一概に感想を述べることは難しいのですが、反響しやすいパビリオン会場内のプラザでこれを聞くと、音が反響しすぎるぐらい反響してしまい、すごく大きな音になります。屋外で聞いてもおそらく大きな音に聞こえると思いますが…。ひょっとしたら、グローバル・コモン3のイベントエリアで行った方がよかったのかもしれません。

アラゴンの水
それからアラゴンの水が配られました。アラゴンの美味しい水とでも言っておきましょうか。ぼくはパビリオン内では飲まず、自分の事務所まで持って帰って冷やしてから飲みました。舌をちょこっと刺激する(といっても炭酸ガスが入っているわけではありませんよ!!)水で、美味しくいただきました。このペットボトルのパッケージはプレミアものだと思います。飲んだ後のペットボトルは当然(!?)とってあります。

ミゲル・アンゲル・ベルナのダンス公演
1日1回だけしか行われていなかったイベントでしたが、ミゲル・アンヘル・ベルナによる、アラゴン地方に伝わる民族舞踊「ホタ」のダンス公演も行われておりました。ミゲル・アンヘル・ベルナは、既成概念に捉われない自由な発想で、伝統的なスペインのダンスに新風を吹き込んでいる有望なダンサーらしいです。常に笑いと悲しみを同時に表すといわれる「ホタ」を彼は熱演しておりました。メリハリのある所作一つ一つに観客は魅了されていました。公演は撮影禁止であったため、パビリオン入り口にあったミゲル・アンヘル・ベルナのダンス公演の案内立看板の写真を上の通り撮りました。
催事の途中に、ぼくはフランシスコ・デ・ゴヤ (Francisco de Goya)についての展示を見ておりました。ゴヤは1746年にサラゴサ (Zaragoza)で生まれました。ゴヤは後にスペイン王室の王室画家となり、「カルロス4世の家族」や様々な意味において問題作の「裸のマハ」や「着衣のマハ」などの多くの歴史に残る絵画を描きました。1814年に、フェルナンド7世の「自由主義者の弾圧政策」によって王室での力を失い、やがて王室画家を辞することになり、その後は生涯最大の傑作とも言われるいわゆる「黒い絵」の連作を描いたという一生を送りました。代表作は下記の通りです。
- 「カルロス4世の家族 (La Familia de Carlos Ⅳ)」
- 「裸のマハ (La Maja Desnuda)」
- 「着衣のマハ (La Maja Vestida)」
- 「5月2日 (El Dos de Mayo)」
- 「モンクロアの銃殺 (Los Fusilamientos de la Moncloa)」
- 「わが子を喰うサチュルヌス (Saturno devorando a su hijo)」
- 「魔女の宴 (Aquelarre)」
これらのゴヤの作品は、マドリードの「プラド美術館 (Museo del Prado)」でも見ることができます。
ゴヤは画家としても有名ですが、デューラー、レンブラントと肩を並べる西洋美術史上最高の版画家の一人と言われています。彼の有名な版画集に、「戦争の惨禍 (Los Desastres de la Guerra)」があります。これは、1808年に始まった「スペイン独立戦争」における一般市民の様子を描くことで、戦争が人間による愚かな行いであり、それをゴヤが冷静に観察したもので、現代の報道写真のように客観的に捉えられている作品です。なぜかゴヤが生きている間には出版されなかった版画集でしたが、ゴヤの死後、1863年に出版されました。

夢見れば理性から怪物が生まれる
このウィークには、ゴヤの版画「夢見れば理性から怪物が生まれる」がプラザ内に展示され、多くの人の目を引いていました。
このように、次回の万博である「EXPO ZARAGOZA 2008 (サラゴサ万博)」をPRした週間でしたが、カランダの太鼓 (Los tambores de Calanda)など、新しい発見がたくさんあり、サラゴサという都市についてのミニ知識も身に付いた感じがしました。