愛・地球博がついに開幕!スペイン館を訪れました!

はじめに

平成17年(西暦2005年)3月25日…。とうとう、「日本国際博覧会」(通称:愛・地球博)が開幕しました。

今まで一市町村一国フレンドシップ事業での清洲町をはじめとして、万博を地元の市町村とスペインとの間に友好的な関係を築いてきましたが、待ちに待った開幕。そんな現場にぼくは早速取材を行いました。

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スペイン・パビリオンのテーマは、「人生の”わざ”と智恵を分かち合う (Sharing the Art of life/Compartir el Arte de la Vida)」である。日本とスペインの共通する価値観を発見してもらおうというのがテーマです。

スペイン館までの道のり・外観

平成17年(西暦2005年)3月25日午前10時00分頃に万博・長久手会場に到着。真っ先にスペイン・パビリオンに向かった。スペイン・パビリオンは、「グローバル・コモン3」と呼ばれる場所に位置します。

「グローバル・コモン」とは、公式参加国や国際機関が出展する展示空間です。「コモン」とは、もともとは入会地や共有地や公用地を表す言葉です。そこから発展して自然と共生する人間の共同体の意味や共同体が共有する集団意識やライフスタイル(コモンセンス)の意味にもなります。また、都市における公共空間の意味としても使われています。

「グローバル・コモン3」は、主としてヨーロッパの国々が軒を連ね、「スペイン」以外には、「イタリア」「ギリシア」「クロアチア」「リビア」「チュニジア」「ドイツ」「フランス」「トルコ」「ブルガリア」「ボスニア・ヘルツェゴビナ」「モロッコ」「ヨルダン」の各館があります。

 

場所 愛知万博長久手会場 グローバル・コモン3
敷地 幅18メートル・奥行き18メートルを「1」として計算すると、それが5つ分。
博覧会協会で認められた最大の敷地の広さである
総床面積 1階面積 1620平方メートル (18メートル四方の敷地が5つ分)
2階面積 810平方メートル (博覧会協会の規定で床面積の50%のロフトを作ることが可能)。事務所になっている
高さ 9メートル

 

「グローバル・コモン3」の中でもスペイン・パビリオンは特別に目立ちます。赤や黄色やオレンジなどの鮮やかな色と幾何学模様が目に飛び込んでくるからです。

グローバルループから眺めたスペインパビリオン

パビリオンの外観のデザインを行ったのが、著名な建築家である、アレハンドロ・サエラ・ポロ (Alejandro Zaera Polo)さんです。六角形の陶器でできたブロックを幾何学状に組み合わせた壁は、スペインの伝統的な格子窓「セロシア (celocia)」を再現したものです。「陶器」は、スペインの土で作られたもので、万博のためにわざわざ輸入して作られています。万博を実施している会場の一つである「瀬戸会場」の位置する「瀬戸市」でも陶器が有名ですが、スペインでもバレンシアをはじめとして、陶器がさかんな街がたくさんあります。ここでも「日本とスペインが共通している」部分があると言えますね。

スペイン館の出入口の壁

このカラフルな壁とパビリオン自体とは1.5m程離れています。パビリオンの外で待たなければならない場合などは、この離れている「間」で待てるようになっています。特徴は日が当たらないこと。夏の暑い陽射しよけにもなり、いい作りだなぁと思いました。パビリオンの壁には、2008年にスペインアラゴン州のサラゴサというところで行われる「EXPO ZARAGOZA 2008」についての告知がなされていました。2008年に開かれる万博は、イタリアのトゥリエステとスペインのサラゴサが残っていましたが、サラゴサが世界各都市の代表からなるメンバー97票中57票を集めて、2008年国際博覧会の開催地に決まりました。テーマは「水と持続可能な開発」。

スペイン館の入口で出迎えてくれたもの

入り口で出迎えてくれるのは、小学校の社会科でも登場するフランシスコ・ザビエルです。フランシスコ・ザビエルは、スペイン人の中ではもちろんのことですが、欧州人で初めて日本の地を踏んだ人物でもあります。まさに歴史上最初に「日本とスペインの架け橋」となった人です。ここでもスペイン・パビリオンのコンセプトが出てきています。

スペイン館の展示

プラザ

中に入ると、「プラザ (Plaza)」があります。

教会の中央廊下を模した作りになっています。パビリオン全体が、キリスト教の大聖堂をイメージして設計されていて、その中心が「プラザ」というわけです。16個の大型スクリーンがあり、そこには、

  1. スペインの自然の映像
  2. スペインの世界遺産のような、世界的に重要な歴史的な場所や芸術
  3. その他のスペイン国内で文化的に価値の高い建物や風景など
  4. スペインのリサイクル・エネルギーに関しての高い技術力

などを表す映像が12分間流れています。ここでもコンセプトは健在。スペインの有名女優(詳しくは行ってからのお楽しみ)と日本の有名俳優(詳しくは行ってからのお楽しみ)との対話から映像は始まります。日本の有名俳優はスペインに行って楽しい経験をしたことがある人物で、さらなる魅力をスペインの有名女優が紹介するというような感じでしょうか…。

スペイン館のプラザ

「プラザ」では自治州週間が行われるようです。

期間 自治州
2005/04/11-2005/04/17 カスティーリャ・イ・レオン週間
2005/04/18-2005/04/24 エストゥレマドゥーラ州週間
2005/05/02-2005/05/08 ナバーラ州週間
2005/05/09-2005/05/15 バレンシア州週間
2005/05/16-2005/05/22 カスティーリャ・イ・ラ・マンチャ州週間
2005/05/30-2005/06/05 カナリア諸島週間
2005/06/06-2005/06/12 バレアレス州週間
2005/06/13-2005/06/19 バスク州週間
2005/06/20-2005/06/26 ムルシア州週間
2005/06/27-2005/07/03 マドリード州週間
2005/07/04-2005/07/10 アラゴン州週間
2005/07/11-2005/07/17 ザラゴサ2008 (万博)アピール週間
2005/07/18-2005/07/23 アストゥリアス州週間
2005/07/24-2005/07/31 愛知万博でのスペイン週間
(25日は「スペインの日」)
2005/08/01-2005/08/07 アンダルシア州週間
2005/08/15-2005/08/21 ラ・リオハ州週間
2005/08/22-2005/08/28 セウタ週間
2005/08/29-2005/09/04 ガリシア州週間
2005/09/05-2005/09/11 カタルーニャ州週間
2005/09/12-2005/09/18 カンタブリア州週間
2005/09/19-2005/09/25 ドン・キ・ホーテ・ラ・マンチャ2005週間

 

開幕日には何も行われていなかったので少々殺風景な感じでした。しかし、自治州週間になれば「プラザ」も活気付くでしょう。また、「プラザ」ではフラメンコショーなども行われるとのことです。自治州週間は、スペインのいろいろな側面を見せてくれるものですから、「万博でスペイン・パビリオンを…」という場合は、上のカレンダーを参考にされるといいのではないでしょうか。また、何もやっていない時でも、夏であれば避暑場所として機能すると思いますね、夏であれば…。

実は、開幕日である3月25日はとにかく寒かったです。時より雪がちらついたほどです。万博は3月25日から9月25日の185日間のイベントで、夏のイベントですから暖房設備が整っていなかったせいか、パビリオンの中にいてもとにかく寒かったです。キツかったけど、暖房設備の不備は万博協会の瑕疵ではないし…。そう考えると準備していた人は大変だったでしょうね。万博の準備は開幕日から逆算していけば、会場で準備をしていたのは秋から冬の間に準備を行っていたということは明白なわけで、暖房設備のない中、寒い中奮闘されていたんだなぁと思いました。

さて、「プラザ」から5つの展示空間(礼拝堂を模している)に行けるようになっています。「イノベーション」「実り豊かな大地」「ドン・キホーテの世界」「現代のヒーローたち」「フィエスタ」です。プラザからどこの部屋から周ってもいいようになっています。

イノベーション (El Ingenio)

まずは、「イノベーション (El Ingenio)」です。

イノベーションの展示

主にスペインの火星の生命起源を研究している宇宙生命学センター(CAB)を再現するコーナーです。スペインと火星がどうして関係があるのかと言いますと、スペインには火星の環境(成分)とよく似た場所があるのです。「リオ・ティント (Rio Tinto)」という川が流れている付近です。「リオ・ティント (Rio Tinto)」を日本語で訳すと「赤い川」という意味になります。なぜ「赤い川」なのでしょうか。それはこの川が流れている沿岸は鉄鉱石が数多く採れるため、その鉄分のせいで「赤く」なっているのです (「リオ・ティント鉱山」がある)。実は、「リオ・ティント」には鉱物を食べるバクテリアが存在します。ひょっとしたら「火星」にもバクテリアのような生物が存在するのでは!?実は「リオ・ティント」での研究のおかげで、火星にもバクテリアがいるということが分かったのです。

スペインでも日本と同じように、こういった最先端の科学技術を用いながら、世界的にも価値の高い研究が進められています。

実り豊かな大地 (Paraisos Cultivados)

次に向かったのが隣の部屋の「実り豊かな大地 (PARAISOS CULTIVADOS)」です。

六角形のプレートを使ってスペインの食材の説明

ここでは日本でもおなじみの食材や関わりの深い食べ物などを紹介する展示空間です。最近特に日本でも人気が高くなっているワイン、日本の高級魚料理とも縁の深い某人気食材の生産方法、オリーブの生産方法についてなどを紹介します。豊かなスペインの大地と気候を最大限に活かしたスペインの農漁業の伝統的な技術から最新の技術までが紹介されています。ここでも意外な日本とスペインとの接点を発見することができます。

様々な食材が集まる活気の帯びた市場の中で
スペインの農漁業の最新技術に触れられる

ここの展示部屋の天井の彫刻は、バルセロナ・オリンピックのオフィシャルマスコットの「コビー」をデザインした、ハビエル・マリスカル (Javier Mariscal)さんがデザインしたものです。スペインの活気あふれる市場の風景を再現したものなのだそうです。確かにバルセローナにある「サン・ジョセップ広場」なんか、いろいろな食材が集まってくるし、彫刻も野菜から魚までいろんな食材が彫りこまれているから、活気あふれる市場を表現したというのはよく分かります。360度楽しめる、そんな空間(展示)です。

ドン・キホーテの世界

続いては、「ドン・キホーテの世界 (Don Quijote)」です。スペインが誇る名小説、「ドン・キホーテ」が刊行されてから2005年でちょうど400周年を迎えます。「ドン・キホーテ」の刊行当時は大した評価を受けていなかったと言われていますが、現在では世界中で翻訳がなされ、「ドン・キホーテ」からインスピレーションを得て作られた映像や舞台の数々もあります。

ドンキホーテの展示

この展示部屋では、日本語や中国語や英語やフランス語などに翻訳されたドン・キホーテを見聞きでき、また世界各国の「ドン・キホーテ」の本を見ることができ(実物ではないが)、また映画や舞台のワンシーンを見ることができます。

日本語や中国語や韓国語で「ドン・キホーテ」の一部を音読するアトラクションがあり、「ドン・キホーテ」が世界中で読まれていることが実感できます。スペイン史上最高の文学が世界を駆け巡って、スペインと世界との結びつきを深めていると言えるでしょう。

現代のヒーローたち (Heroes Contemporaneos)

続いては、「現代のヒーローたち (HEROES CONTEMPORANEOS)」です。

サッカーの人気チームユニフォームの展示
(サイン入りです)

スポーツ選手は現在のヒーローであると言えるでしょう。また、日本人がスペインのことを最も知ることのできるツールとしてスポーツは有効的でしょう。この展示部屋では、スペインのスポーツの様子を見ることができます。日本でも人気がさらに高まっている世界最高峰サッカーリーグ「リーガ・エスパニョーラ」を始め、バスケットボール、ハンドボール、ホッケーなどの様子を映像で見ることができ、ユニフォームなどの展示があります。また、スペインのチームが獲得している数々の栄光もトロフィーの展示によってうかがい知ることができます。スポーツが好きな人にとってはものすごく面白い場所だと思います。

また、2007年にはスペイン東部の都市バレンシアで「アメリカンズカップ2007」の開催予定があり、2012年のオリンピックにはマドリードが開催地として立候補しています。そのPRの場としても活用されます。

フィエスタ (La Fiesta)

最後は、「フィエスタ (La Fiesta)」です。

フィエスタの部屋の様子

スペインのお祭りは世界的にも有名です。バシリオ・マルティン・パティノ(映画「戦争の後の歌」の監督)が万博のために「フィエスタ」に関する短編映画を撮り、ソファに座りながら、タラゴナの「人間の塔」やパンプローナの「サン・フェルミン祭り」等の様子を見ることができます。

スペインでは伝統的な「お祭り」を大切にしています。キリスト教や地元の古くからの言い伝えから由来する「お祭り」は、「スペイン人(その土地の人たち)の魂」であると言えるでしょう。そんな「魂」をここでは見ることができます。

出口

出口には、「スペインを愛する人たち (Locos por lo español)」と称して、スペインに移住している日本人が映像と文字によって紹介されています。

伊達政宗が派遣した支倉常長遣欧使節団が1614年に日本人で初の訪西した時に住み着いた子孫(Japón「日本」さん)の方やサグラダ・ファミリアの彫刻を手がけている外尾悦郎さんを始めとして、多くの日本人がここで紹介されています。いずれ、ぼくもこういうところで紹介されてみたいですが、道のりはまだまだ遠いですな。

出口からは3つの道に行くことができます。1つはパビリオンの出口ですが、2つ目はスペイン王室御用達の世界的にも有名なスペインのブランドである「ロエベ (LOEWE)」のお店、もう1つはスペインの13人の有名シェフが日本との食文化の違いや共通点を分かち合う場所として「タパス・バー (Bar de Tapas)」を設けています。

タパス・バーで注文したピンチョス・セット

ぼくは見学で小腹が空いていたので、「タパス・バー」へ行くことに…。「タパス」とは「おつまみ」のことです。

今回はバスク地方のタパス料理の一つである「ピンチョス・セット」と「ビール」を注文しました。お味はと言いますと…「冷たい!!」の一言です。温かいものを注文すればよかったのですが、どうしても食べたかったので仕方ないのですが、雪がちらつくほどのこの寒さに冷たいトマトスープは堪えました。しかし夏のイベントですから、夏の暑い時に(多分その前にも何回かここに来そうな感じがするが…)もう一度このトマトスープを食べた時、きっとそのありがたみと美味しさが分かることでしょう。もっとも、味は美味しゅうございましたけどね。

ロエベの店は自分にとってはあまり縁のない店ですがどんなものが売っているのかと思って立ち寄ってみました。女性モノのカバンだとかアクセサリー類は全く分かりませんが、ネクタイ1本15000円超でした。モノは良さそうでしたが、ここでネクタイを買ったらこの先帰れなくなるし、飯も食べられなくなるので我慢して出てきました。

夜のスペインパビリオン外観

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こうして平成17年(西暦2005年)3月25日の万博開幕日のスペイン・パビリオン訪問は終了しました。次は、自治州週間の行われている時やイベントなどが行われている時に改めて訪問したいと思います。ちなみに、平成17年(西暦2005年)3月25日の公式入場者数は43,023人で、意外に空いていました。

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